成年後見 Q&A
Q1 : 成年後見,保佐,補助は,それぞれどのような人を対象とするのですか。
- A :
- 成年後見は,判断能力を「欠く常況」(常に判断能力を欠いているような状況)にある人を対象とし,保佐は,判断能力が「著しく不十分」な人を対象とし,補助は,判断能力が「不十分」な人を対象とします。本人の判断能力の程度は,補助,保佐,成年後見の順で低くなっていきます。
Q2 : 成年後見人,保佐人,補助人は,それぞれどのような権限がありますか。
- A :
- 成年後見人には,代理権(本人の代わりに契約等の様々な行為を行う権限),取消権(本人の行った契約等の様々な行為を取り消す権限)があります。
保佐人には,同意権・取消権(元本の領収,借金,土地建物の売買等の法律又は裁判所が定めた一定の重要な行為をすることについて同意する権限であり,同意なしに本人が一定の重要な行為を行った場合にそれを取り消す権限)があります。また,本人が保佐人に代理権を与えることに同意すれば,代理権を与えることに同意した裁判所の定める特定の行為の代理権を有します。
補助人には,本人が補助人に同意権・取消権,代理権を与えることに同意した裁判所が定める特定の行為についての同意権・取消権,代理権があります。
Q3 : 成年後見,保佐,補助の審判は誰が申し立てることができますか。
- A :
- 本人,配偶者(夫又は妻,内縁での申立ては困難です。),4親等内の親族(父母,祖父母,曽祖父母,兄弟姉妹,おじおば,甥姪,いとこ等があたります。)等です。
ただし,成年後見の場合には,本人に殆ど判断能力がないため,本人からの申立てが認められない場合があります。
Q4 : 成年後見人,保佐人,補助人には誰がなるのですか。
- A :
- 誰が成年後見人,保佐人,補助人になるかは裁判所が決定します。申立人が推薦する親族(申立てをした親族の場合が多いです。),弁護士等が選任されることもありますが,利害関係のない第三者の弁護士等が選任されることもあり,本人の利益を考えて裁判所が決定します。
Q5 : (法定)成年後見と任意後見の違いは何ですか。
- A :
- (法定)成年後見については,既に本人に判断能力がなくなってしまった後に裁判所に申立てをし,裁判所が成年後見人を選びます。一方,任意後見については,本人に判断能力があるときに,任意後見人受任者と公正証書によって契約をしますので,本人が任意後見人を選ぶことができます。
また,(法定)成年後見人は,日用品の購入等以外の全ての契約等の行為の代理権を有しますが,任意後見人は,任意後見契約で定めた範囲の代理権を有します。更に,上記のように(法定)成年後見人は取消権を有しますが,任意後見人は取消権を有しません。
なお,任意後見の場合,その開始にあたって,必ず任意後見監督人が裁判所によって選任されます。成年後見,保佐,補助という法定後見制度の場合,事案によって成年後見監督人,保佐監督人,補助監督人が選任されることがありますが,必ず選任されるわけではありません。
Q6 : 成年後見人,保佐人,補助人,任意後見人の報酬はどのように決定されますか。
- A :
- 成年後見人,保佐人,補助人,各監督人の報酬については,裁判所が決定します。
成年後見人,保佐人,補助人に弁護士等が就任した場合,目安としては,通常の業務で管理財産額が1000万円以下の場合月額2万円程度,1000万円を超え5000万円以下の場合3〜4万円程度,5000万円を超える場合5〜6万円程度です。各監督人については,管理財産額が5000万円以下の場合月額1〜2万円程度,5000万円を超える場合は月額2万5000円から3万円程度です。もっとも,事案によってはこの目安に加算されることがあります。
任意後見人の報酬については,任意後見契約によって定まります。当事務所にご依頼いただく場合,事案によって異なりますので,ご相談時にご説明いたします。